げぷろぐ

好きなことをダラダラ

仕事にこないかと誘われた話

先日、以前勤めていた会社の元同僚から、もう一度働かないかと元上司が言っていると連絡を受けた。

働いていた会社の業種は不動産で、その中で私は物件のウェブ検索用のデータベース蓄積をやっていた。顧客相手の接客もオフィスではやっていたが、一度事故で自動車を壊してからは、自宅勤務でデータ蓄積だけをやらせてもらっていた。自宅勤務ということもあり、音楽や映画・アニメを流しながらひたすらに物件情報をまとめてデータベースに送信、単純作業なので雑談や連絡の流れて来ない自宅では仕事は捗った。

そして、単純作業であることと、自宅勤務だからって怠けてると思われたらイヤだという(音楽流したりアニメ見たりと好き勝手はやっていたけど、それも自分なりの集中方法だった)、自分勝手なプレッシャーも背中を押して、かなり過集中を発揮。休むのはタバコ休憩の時だけで、昼休みも人目がないのをいいことに20分くらい(食後のタバコタイムも含めると)で済ませて、残り時間はずっと仕事をしていた。休憩しようと思えばできたのかもしれないと思うけど、実際のところ仕事のこと以外何も目が向かなくなっていて、休みたくてもできなかった。過集中はめんどくさい。

そしてそのめんどくさい過集中のおかげで蓄積の成果量は多くなり、同僚には感謝された。神経は随分と磨り減って、仕事が終わった瞬間に寝落ちすることも多かったけど。

 

通勤していた頃のオフィスでは、同僚よりも物覚えが悪く、忘れ物は多く、計算機を使っても算数レベルの計算を間違える。今時アナログにもPCにメモ書きが異様に多く貼られたデスクは私だけで、恥ずかしいとは思いながらも仕事を間違えるよりはましだと思って続けた。

職場は幸い空気がよく、同僚もいい人たちで居心地はよかった。だけど、そんないい職場にいながら交通事故を起こして自宅勤務になったり、発達障害の診断を受けて自分の不得意なことに対するコンプレックスがマックスになっていたこともあって鬱は最高潮。8時間データ蓄積の作業だけをするのはさすがに辛くなって、勤務時間を短縮してもらったりした、はず(この頃の記憶が薄い)。

ある日自宅で職場に始業の連絡を入れ、作業を始めた後に涙が止まらなくなり、そのまま薬を過剰摂取して入院、退院したその日にまた薬を過剰摂取、また入院。そしてそのまま休職して、退職。そんな顛末を経て辞めた仕事だったけど、またいつでも戻ってきてねとは言って貰えていた。

 

そして、まだ一年も経ってはいないけど、その職場からまた同じ仕事をやらないかと声をかけてもらった。当初は連絡を受けた動揺でいっぱいだったけど、嬉しかった。オフィス勤務では出なかったであろう異常な集中力があったからこそ出た成果で、その反動も大きかったし、退職の仕方もきれいではなかったけど、自分の仕事が評価された喜びはあった。

もう一度仕事がしたい、最初はそう思った。他の人にでも出来る仕事だけど、そんな仕事でわざわざ声をかけてもらえることなんて、私の人生にはなかったから。

ただ、連絡をもらったその日のうちに体調が崩れて、その時困っていた悪心が出てきたのと、仕事を始めたら家事・子育てにはまたほとんど触れなくなるだろうな、今はまだその時じゃないかも、と思った。連絡を受けた翌日、主治医に相談しても、今はまだ仕事をするのはやめたほうがいい、という判断だったので、結局仕事の打診は断った。

ちょっと後悔はしている。やってみたら意外と順調に行った、なんてこともあったかもしれない。仕事をしてることが自信につながって生活が楽しくなったかもしれない。

けど、もう断ってしまった。今こうして記事を書いて、仕事をしていた時のことや、先日元同僚から連絡を受けた時のことを思い出しているだけでちょっと心臓がバクバクする。だから、今はしょうがないのだ。

今の状態がいつまで続くの?という疑問は大いにあるんだけど、この不安に対する堪え性が私にはなくて、「今」が嫌すぎてすぐに新しい環境に飛び込む癖が私にはある。準備も整っていないのに、朝起きたなら走りながら服を着ればいいじゃないとばかりに飛び込んだ結果、毎回いい仕舞い方ができずに終わるのだ。

私って背後の悪魔に殺される運命なのかもしれない、と思うことが以前から度々あった。何もない、平和に日々がすぎているような気がする時には、必ず想像もしなかったような、思いもよらない怖いことが起きるから。

今回はまあ、たしかに思いもよらない連絡だったんだけど、伏線はあった。仕事を自分なりに頑張っていたことと、職場に出戻りしてもいいよと、病気やら事故に理解を示してくれた上司がいたこと。元職場が繁忙期を見据えて求人を出そうかと考える時期であったこと。

まさか本当に復帰しないか連絡が来るとは想像はしてなかったけど。でも、悪い報せではなかった。連絡を受けて少し自信がついたし、次に働く時の糧にできる。

ちょっとずつ変われている。以前の自分だったら、自分を含めた「今」が嫌で、きっと職場に二つ返事で帰っていたと思う。また別の『今』は、無理をしないこと、元気になりたかったら急がば回れと思えるようになった。

仕事はしたい。自分で金銭を得ることは、大変だけど自信になる。趣味は少なくはない方だから、自分で自由に使えるお金があると、楽しみも増える。ただまあ、今は体がついていかないから、もうちょっと先送り。