げぷろぐ

好きなことをダラダラ

食事が象徴するもの

小学校四年生の時だった。専業主婦だった母に趣味が出来た。私が学校から帰った夕方から、息抜きに母は趣味のために出かけるようになった。父は早朝から夜の十時くらいまで仕事で帰ってこない。六つ年上の姉は家に帰ってこないで友達の家を渡り歩いていたので、家には私だけになる。だから夜は、食事をとるのも、お風呂に入るのも、テレビを見るのも自分だけで。

やがて母は趣味が興じて、その趣味を仕事にして働き始める。

やはり、家に帰ってからの食事は一人。

父や母を恨むわけではないので、今更こんなことを思い出して何になるのかと思うけど、私も母親なので、自分の子供には食事時にさみしい思いをさせたくないな、と思っていた。十六歳から一人暮らしを始めて、自炊の機会を得てからは、食事を作ることに拘った。料理のレパートリーが増えていくのがうれしかったし、家に来てくれる友達に料理を食べさせられることがうれしかった。

昔の食事の記憶がさみしかったから、その反動だったんだろう。

結婚していた時も、お惣菜を買うとか、そういうことはせずに、自分で料理をすることが大事だった。私はお母さんだから、自分のお母さんに、そうあって欲しかったから。

週に一度でもいいから、家族揃って一緒に食事をとれる。両親の仲が悪くない。それだけでいいから、自分の子供には、そんな環境を整えてあげられればよかったのに。

けど、難しい。子供の父親とは離婚をしたし、子供と会わせたり復縁するつもりもない。同居している実家の家族はあまり食事をみんなで楽しむという習慣はないので、子供と囲む食卓はだいたい二人になる。楽しい時間にしたいけど、子供の食べ物の好き嫌いとか、食事中のマナーとか、些細なことで叱ってしまったりする。家族との楽しい時間がどういうものなのか、自分はよくわからないんだな、ということに気づかされる。

トライアンドエラー、ベストよりベター。

なんとなくわかってる。諦めなければちょっとずつよくなる。

けど、ひとりで頑張っても得られないものがある。私は子供にとって必要なんだろうか?ちょっと悩ましい。